ワンコの耳や肘が痒くなったら、「疥癬」も疑ってみてね
今年の5月、ぶっちくんが犬疥癬(イヌかいせん)という皮膚病に感染してしまいました。
感染自体はこれといった予防法もなく、不運としか言えないのですが、全く知識がなかったために発見が遅れ、治療が長引いてしまいました。この経験がどなたかの参考になればということで、シェアしておこうと思います。
今回の疥癬騒動で、私が得た教訓はこの2つ。
①病院に行く前に、自分でもネットなどで症状を調べておこう。
②安易に抗生剤に頼らない。(そのためにも、事前に調べて自分なりの見解を持っておくこととが有効です。素人の付け焼き刃と思われてもいいんです。何も判らず、意見もなければ、質問すらできませんからね。)
犬疥癬とは
- 犬疥癬は、ヒゼンダニというダニの一種が寄生して起きます。
- 小さすぎて目に見えません。顕微鏡でないと確認できない。
- 皮膚の角質層にトンネルを掘って住みつき、産卵し繁殖する。
- 主にタヌキなどの野生動物が「接触感染」により媒介すると言われています。
- 症状は、とにかく痒みがひどい。寝れないくらい。刺すような痒さです。
- なぜか背中には付かず、耳の先・肘から始まり、腹部に広がる感じです。
- ヒトに感染するヒゼンダニと、動物につくヒゼンダニは違います。
- 動物のヒゼンダニは人についても皮膚にトンネルは掘りません。ただしめちゃめちゃ痒くはなります。
- 動物から離れたヒゼンダニは、最大21日くらいで死にます。
- ヒゼンダニは高温に弱い。50(60)度以上に10分以上晒されると死ぬと言われています。
疥癬についてのサイトはたくさんあります。
例えばこちら。
皮膚にトンネル?その中で卵?そりゃあ、夜も眠れないほど痒いよね…
ヒゼンダニ感染中のぶっちくんです。耳の先が真っ赤になって、毛が抜けてきてます。
痒みがひどいので、掻きすぎて耳の付け根が擦りむけてしまいました。熟睡もままなりません。カワイソウ…!
獣医さんに行ったけど…
感染したての頃は『耳の先が赤いけど、何かにかぶれたかな?』くらいの感覚でした。ぶっちは垂れ耳族なので、蒸れて耳の奥が痒くなることはよくあるのですが、先が痒くなるなんて珍しい。これは草などにかぶれたのか???
ちょうど狂犬病ワクチンの時期だったので、「ついでに耳の痒みも診てもらおうか」くらいの軽い気持ちで来院。
この時点で、『草によるかぶれに違いない』『病院に行けばすぐ治してもらえる』と思い込んでいた私は、ネットで調べてみる一手間をサボってしまいました。というか、調べようという発想すらなかった。(ああ…この時、ちょっと調べておけば…)
診察の結果、『原因はわからない』。つまり、草のかぶれかどうかはわからないそうです。
そして「炎症を起こしているのは明らかなので、とりあえず抗生剤を注射しておきましょう」と言われました。「狂犬病ワクチンを打った直後ですが、大丈夫なんですか?」と聞く私に「それは問題ありません」とお医者さん。
抗生剤は確かに様々な細菌に効くありがたい薬ではありますが、腸内の善玉菌も死滅させてしまうリスキーさもあるので、ちょっとモヤモヤ。とはいえ…ぶっちの痒みは取ってあげたいし、素人にはこれ以上の知恵もなく…。
そして嫌がるぶっちにもう1本チックン。
さらに3日分の飲み薬を処方されました。もちろんこれも抗生剤。
さて、ここからが地獄の始まり。
まず抗生剤の影響でおしっこの回数と量が激増え。
ぶっちはトイレ外派なので、自分でしたいときにサッとするわけにもいかず、いちいち連れ出してもらわないといけない。私も忙しい時に毎回今すぐともいかず…。そして毎度すごい量がジョボジョボと。ぶっちにとっては、痒いわ、おシッコ近いわで、ツラい時期でした。
そうです。痒み、良くなるどころか悪化の一途。薬を飲んでも、一向に効く様子がありませんでした。
さらには、キアちゃんも!そして私たち人間まで!
とうとう家族全員ひどいカイカイになってしまった。何なの、これ?!
自分で調べてみたら…
いくらなんでもおかしい。
ネットで「犬・耳の先・痒み」などのワードで調べてみたところ、割とすぐ「疥癬」見つかりました。(ホント私のバカ!)患部の写真も症状もそっくり。これは間違いない!
というわけで、前回から2週間後に再度来院。
お医者さんに「疥癬かもしれないから調べて欲しい」と伝えたら、訝しげな表情とともに耳から皮膚を少し削り取り、顕微鏡で見てくれました。すると…いたいた、いました!ヒゼンダニ!
お医者さん曰く「まさか疥癬だなんて。猫ならともかく、犬の疥癬なんて非常〜に珍しいですよ!正直驚いたなぁ!」…と目を丸くしておられました。しかし、ネット情報を見た限り、そんなに珍しい病気ではないような印象。たまたまこの地域では少なく、実際に目にしたことがないっていう意味かな?
お医者さんがいい悪いの話がしたいのではないんです。このお医者さんは、先代犬ニッキちゃんが長年どこの病院でも診断してもらえなかった「甲状腺機能低下症」を見つけてくれた恩人。
でも人間なので、完璧はありません。
勘違い、思いつかなかったなど色々あると思います。
何しろ、皮膚の病気なんて本当に原因が色々ありすぎて、特定が難しい。炎症を抑えるためには『とりあえず抗生剤で様子をみましょう』が無難なのでしょう。
しかし、一部のお医者さんにはそういう『思考のクセ』があるようだということは、我々飼い主は理解しておいた方がいい気がしています。
抗生剤は「とりあえず」で使っちゃいけない
抗生剤はとても便利です。現代医療には欠かせません。
でも、使い方がとっても大事!https://watanabeclinic.or.jp/archives/838
腸内の善玉菌を殺してしまうということは、免疫力が下がってしまうことを意味します。免疫システムは生命にとって重要な武器。これが働かないと、状況によっては病状を悪化させることになりかねません。
今すぐ症状を抑えられる。目に見えて効果がわかりやすい。わかりやすいから患者さんも納得する。これは使いたくなりますよね。
ただし、症状は抑えても、原因が無くなったとは限らない。
長期的な健康にとってどうかとなると話は別です。でも、その結果は何年もたたないと出てこないし、その結果が抗生剤のせいという証明もできないというわけ。
だからこそ、本当に必要か、よく考えることが大切です。
ワンコそれぞれに、環境も違えば体質も違う。お医者さんも万能じゃありません。飼い主も勉強して、一緒に考えなくちゃいけないなあと、つくづく思いました。
こんな例もあります。https://www.bibiinuneko.com/archives/149
まだ経過観察中ということですが、抗生剤の投与が疥癬を悪化させてしまった可能性があるという症例です。
今回のぶっちくんは、最初の診察で「とりあえず抗生剤」を打たれたことで、その後2週間での家庭内パンデミックにつながったのかもしれないのです。
つまり、最初に「疥癬かも」と私が言っていれば、抗生剤ではなく疥癬の駆虫薬を注射して、誰にも感染することなく事なきを得た可能性があった。だから、病院に丸投げではなく、初めにちょっと調べておくのは有効だと思うのです。
とにかく消毒。掃除洗濯・コインランドリーの日々へと続く。
それはともかく、疥癬の薬を注射して、症状は目に見えて改善して行きました。しかし家族全員に感染するほど増えてしまったため、全ていなくなるまでにはなんと数週間かかりました。
疥癬撲滅ライフはまた次回。ちょっとしたお役立ち情報などもシェアしますので、また見てね。
コメント